平成29年度 春期 データベーススペシャリスト試験 午前II 問17

【解説】

各事象の定義

• ダーティリード: 未コミットのデータを別のトランザクションが読み取る事象を指します。この場合、未確定のデータが他トランザクションで利用されるため、矛盾が生じる可能性があります。
• アンリピータブルリード: 同一トランザクション内で同じデータを再度読み取った際に、データが他のトランザクションによって変更または削除されている事象を指します。
• ファントムリード: クエリを実行した際に、別のトランザクションが新しいデータを挿入することで、再実行時に異なるデータセットが返される事象を指します。
• シーケンシャルリード: この用語は一般的なトランザクション制御には使用されません。

選択肢の検討

図の状況では、トランザクションT2が新しいデータ（A君の成績）を登録し、その影響でトランザクションT1の計算結果が変化しました。このため、T1が読み取ったデータセットに新しい行が加わったことで、再実行時に異なる結果が得られたことからファントムリードが発生したと判断できます。

ア: アンリピータブルリード
誤り。既存のデータが変更または削除されたわけではありません。

イ: シーケンシャルリード
誤り。この用語は該当しません。

ウ: ダーティリード
誤り。未コミットのデータを読み取ったわけではありません。

エ: ファントムリード
正しい。新たに挿入されたデータ（A君の成績）が影響を与えています。