令和2年度 秋期 データベーススペシャリスト試験 午前II 問2
2025年6月30日
【問題2】
BASE特性を満たし,次の特徴をもつNoSQLデータベースシステムに関する記述のうち,適切なものはどれか。
〔NoSQL データベースシステムの特徴〕
・ネットワーク上に分散した複数のノードから構成される。
・一つのノードでデータを更新した後,他の全てのノードにその更新を反映する。
クライアントからの更新要求を2相コミットによって全てのノードに反映する。
データの更新結果は,システムに障害がなければ,いつかは全てのノードに反映される。
同一の主キーの値による同時の参照要求に対し,全てのノードは同じ結果を返す。
ノード間のネットワークが分断されると,クライアントからの処理要求を受け付けなくなる。
【解説】
BASE特性とは、NoSQLデータベースシステムで重視される以下の3つの特性を指します:
- Basically Available(基本的可用性) – システムは部分的な障害が発生しても動作を続ける。
- Soft-state(ソフトな状態) – システムの状態は一時的に矛盾していても許容される。
- Eventual Consistency(最終的整合性) – システムの整合性は一定時間経過後に最終的に保証される。
ア: クライアントからの更新要求を2相コミットによって全てのノードに反映する。
誤り。2相コミット(2PC)はACID特性を持つデータベースの分散トランザクション制御で使用されるが、BASE特性を重視するNoSQLには適しません。
イ: データの更新結果は,システムに障害がなければ,いつかは全てのノードに反映される。
正しい。BASE特性における「最終的整合性」を表す記述です。データの更新結果はシステムに障害がなければ、遅延があっても最終的に全てのノードに反映されます。
ウ: 同一の主キーの値による同時の参照要求に対し,全てのノードは同じ結果を返す。
誤り。BASE特性では一時的な整合性の欠如(Soft-state)が許容されるため、同時の参照要求に対し全てのノードが同じ結果を返すことは保証されません。
エ: ノード間のネットワークが分断されると,クライアントからの処理要求を受け付けなくなる。
誤り。ネットワーク分断時でもBASE特性の「基本的可用性」により、少なくとも部分的な処理は継続されます。
【答え】
イ: データの更新結果は,システムに障害がなければ,いつかは全てのノードに反映される。
出典:令和2年度 秋期 データベーススペシャリスト試験 午前II 問2