令和4年度 秋期 データベーススペシャリスト試験 午前II 問1
2025年6月30日
【問題1】
BASE特性を満たし、次の特徴をもつNoSQLデータベースシステムに関する記述のうち、適切なものはどれか。
〔NoSQLデータベースシステムの特徴〕
・ネットワーク上に分散した複数のノードから構成される。
・一つのノードでデータを更新した後、他の全てのノードにその更新を反映する。
クライアントからの更新要求を2相コミットによって全てのノードに反映する。
データの更新結果は、システムに障害がなければ、いつかは全てのノードに反映される。
同一の主キーの値による同時の参照要求に対し、全てのノードは同じ結果を返す。
ノード間のネットワークが分断されると、クライアントからの処理要求を受け付けなくなる。
【解説】
BASE特性とは
BASE特性は、以下の特徴を指します:
– Basically Available: 基本的に利用可能であること。分散環境下でもデータベースが停止しないことを優先します。
– Soft state: 一貫性は即座には保証されないこと。
– Eventual consistency: 最終的に一貫性が保証されること。
NoSQLデータベースの設計では、完全な整合性よりも可用性とスケーラビリティが重視されます。
ア: クライアントからの更新要求を2相コミットによって全てのノードに反映する。
誤り。2相コミットはトランザクション整合性を重視するACID特性の一環であり、BASE特性とは矛盾します。
イ: データの更新結果は、システムに障害がなければ、いつかは全てのノードに反映される。
正しい。これはBASE特性の「最終的整合性 (Eventual consistency)」を表しており、分散システムにおいては最終的に整合性が保証されることが重要です。
ウ: 同一の主キーの値による同時の参照要求に対し、全てのノードは同じ結果を返す。
誤り。即時の一貫性を求める記述であり、BASE特性には該当しません。BASEでは一貫性が即座に保証されることは求められません。
エ: ノード間のネットワークが分断されると、クライアントからの処理要求を受け付けなくなる。
誤り。BASE特性では「分断耐性」が求められ、ネットワークが分断されても、システムは引き続き可用性を維持することが求められます。
【答え】
イ: データの更新結果は、システムに障害がなければ、いつかは全てのノードに反映される。
出典:令和4年度 秋期 データベーススペシャリスト試験 午前II 問1