平成27年度 春期 データベーススペシャリスト試験 午前II 問18
【問題18】
インターネット販売などの巨大な取引データを高速に処理するために、NoSQLと呼ばれるデータ処理方式が使われることがある。その特性のうち結果整合性(Eventual Consistency)の説明として、適切なものはどれか。
データを複製し、複数サイトに分散して保持するとき、コンシステントハッシング手法によって、時間帯別に格納先を固定する。
複数のクライアントからの更新要求が衝突する場合、ロック機構によってどちらかを待たせることで整合性を保つ。
分散した複製サイト間で更新内容を厳密に同期させずに、同期の一時的な遅れを許容する。
分散した複製サイト間で更新内容を整合させるために、2相ロック方式を採用する。
【解説】
結果整合性(Eventual Consistency)の概要
結果整合性とは、分散システムにおいて、全てのノードにデータが最終的に一貫した状態になることを保証するモデルです。これは、高可用性を重視するシステム(例: NoSQLデータベース)で採用されることが多く、一時的な不整合を許容しますが、最終的には整合性が確保されます。
各選択肢の検討
ア: データを複製し、複数サイトに分散して保持するとき、コンシステントハッシング手法によって、時間帯別に格納先を固定する。
誤り。コンシステントハッシングはデータの分散配置を効率化するための手法ですが、結果整合性そのものの説明ではありません。
イ: 複数のクライアントからの更新要求が衝突する場合、ロック機構によってどちらかを待たせることで整合性を保つ。
誤り。ロック機構を利用した同期は、整合性を保つ手法の一つですが、結果整合性ではなく、強整合性に近い説明です。
ウ: 分散した複製サイト間で更新内容を厳密に同期させずに、同期の一時的な遅れを許容する。
正しい。結果整合性では、分散システム内の複製ノード間で即時の同期を強制せず、一時的な不整合を許容しながら、最終的に全てのノードが一貫性を持つことを保証します。
エ: 分散した複製サイト間で更新内容を整合させるために、2相ロック方式を採用する。
誤り。2相ロック方式はトランザクションの整合性を保証する手法ですが、結果整合性ではありません。
【答え】
ウ: 分散した複製サイト間で更新内容を厳密に同期させずに、同期の一時的な遅れを許容する。
出典:平成27年度 春期 データベーススペシャリスト試験 午前II 問18