令和5年度 秋期 データベーススペシャリスト試験 午前II 問1
2025年6月30日
【問題1】
CAP定理に関する記述として,適切なものはどれか。
システムの可用性は基本的に高く,サービスは利用可能であるが,整合性については厳密ではない。しかし,最終的には整合性が取れた状態となる。
トランザクション処理は,データの整合性を保証するので,実行結果が予測した状態になることはない。
複数のトランザクションを並列に処理したときの実行結果と,直列で逐次処理したときの実行結果は一致する。
分散システムにおいて,整合性,可用性,分断耐性の三つを同時に満たすことはできない。
【解説】
ア: システムの可用性は基本的に高く,サービスは利用可能であるが,整合性については厳密ではない。しかし,最終的には整合性が取れた状態となる。
誤り。この記述はCAP定理ではなく,整合性を犠牲にするBASEモデル(Basically Available, Soft state, Eventually consistent)に近い説明です。
イ: トランザクション処理は,データの整合性を保証するので,実行結果が予測した状態になることはない。
誤り。トランザクション処理は整合性を重視しますが,CAP定理では整合性,可用性,分断耐性のバランスを考える点に焦点を当てています。
ウ: 複数のトランザクションを並列に処理したときの実行結果と,直列で逐次処理したときの実行結果は一致する。
誤り。これはトランザクションの直列化可能性(Serializability)の説明であり,CAP定理とは異なります。
エ: 分散システムにおいて,整合性,可用性,分断耐性の三つを同時に満たすことはできない。
正しい。CAP定理(Consistency, Availability, Partition tolerance)では,分散システムにおいてこれら三つを同時に満たすことは理論的に不可能であり,どれかを犠牲にする必要があります。
【答え】
エ: 分散システムにおいて,整合性,可用性,分断耐性の三つを同時に満たすことはできない。
出典:令和5年度 秋期 データベーススペシャリスト試験 午前II 問1